脊柱・腰椎・骨盤に対する指圧療法
(特)日本指圧協会理事 指圧道師範 木 下 誠
1.急性腰痛の急性期の指圧療法を例にした押し型
(1)患者さんに伏臥位になって頂く。
(2)三指で、腰椎の棘突起を触れ、圧痛の有無を確認する。
(3)左右の腸骨稜を触れ、骨盤の水平位が取れているか否かを確認する。
(4)左右の内果を触れ、左右の足の長さを確認する。
(5)片足ずつであるが、膝関節を屈曲、股関節を外転外旋して頂く(水泳の平泳ぎのような格好)。
(6)指圧部位
[伏臥位]
ア.臀部(大腿骨頭近くを起点(一点目)として、放射状に腸骨稜に向かって4本)伏臥位の状態で。
放射状の一本目は、水平に腸骨稜に向かって6点(解剖学的には上方に向かって)
2本目は30°の角度で腸骨稜に向かって6点。
3本目は60°の角度で腸骨稜に向かって6点。
4本目は90°の角度で腸骨稜に向かって6点。
その後、水平の6点目から円の1/4の弧を描くように10点圧す。
*(5)の姿勢をとることにより、大殿筋がゆるみ、深部の筋肉が圧しやすくなり、圧した時の痛みも軽減する。
イ.腰部、背部(脊柱起立筋を3列に分け、垂直に軽く圧した後、棘突起の方向に圧す)一列目は、きき手の母指の先を棘突起と脊柱起立筋の一番盛り上がった所の間に置き、きき手でない方の母指の先を脊柱起立筋の盛り上がった所に置いて圧す。
2列目は、きき手の母指の先を脊柱起立筋の一番盛り上がった所に置き、きき手でない方の母指の先を脊柱起立筋の外縁に置いて圧す。
3列目は、きき手でない方の母指の先を脊柱起立筋の外縁の少し外側に置いて圧す。
4,5,6,7列目の側腹部は腹部の中心の方向に圧す。
*(5)の姿勢をとることにより、曲げた方の腸骨稜が上がり、腰椎は多少側わん状態になり、脊柱起立筋がゆるみ、圧しやすくなり、圧した時の痛みも軽減する。
*浮肋骨・棘突起は圧さないこと。
*腎臓部に注意すること。
ウ.仙骨部(3点3回)
(7)チェック
ア.骨盤の水平位が取れているか否か?
伏臥位で観るが、水平位が取れていない場合には片手を膝裏に置き、もう一方の手で足首を押して、膝を屈曲させ骨盤の水平位を取る。
* 腰痛がある患者さんに対しては、膝を屈曲させずに足首を持って引いたほうが良い。
イ.左右の足の長さが合っているか否か?
骨盤の水平位が取れたら、左右の内果で足の長さを観る。長さが合っていなければ、股関節の調節をする。
長い方の足:片手の小指球を大腿骨頭に当て、もう一方の手で膝を外後方に持ち上げる。その後、片手の小指球を腸骨稜に当て、もう一方の手で膝を外後方に持ち上げる。
足の短い方:片手の小指球を腸骨稜に当て、もう一方の手で膝を外後方に持ち上げる。その後、片手の小指球を大腿骨頭に当て、もう一方の手で膝を外後方に持ち上げる。
ウ.イ.の操作を何度か繰り返す。
*[注意点]
腰部の棘突起を触れた時、圧痛がある時は腰部は圧さないこと。
圧してしまうと一週間くらい動けなくることもある。
次のポイント、操作に移った時に痛みがないか否かをたずねる。痛みが出たら必ず話して頂くように治療開始前に話しをしておく。
3日間連続して指圧治療を受けて頂く。
(8)[横臥位]
ア.肩甲間部
@ 棘突起と脊柱起立筋の一番盛り上がった所の間を、第7頚椎と第1胸椎の間から第7胸椎の棘突起の高さまで5点3回
A 脊柱起立筋の一番盛り上がった所を、第7頚椎と第1胸椎の間から第7胸椎の棘突起の高さまで5点3回
B 肩甲骨の内側縁を、内上角から下角まで5点3回
イ.肩甲骨下部〜腰部
@ 棘突起と脊柱起立筋の一番盛り上がった所の間を、第7胸椎の棘突起の高さから第5腰椎の高さまで10点3回
A 脊椎起立筋の一番盛り上がった所を、第7胸椎の棘突起の高さから第5腰椎の高さまで10点3回
B 10点を3回
ウ.臀部(大腿骨頭近くを起点(1点目)として、放射状に腸骨稜に向かって4本)
@ 放射状の一本目は、解剖学的に上方に向かって6点
A 2本目は、30°の角度で腸骨稜に向かって6点
B 3本目は、60°の角度で腸骨稜に向かって6点
C 4本目は、90°の角度で腸骨稜に向かって6点
D その後、@の6点目からCの6点目まで円の4分の1の弧を描く様に10点
(9)[伏臥位] 基本の押し方
ア.肩甲間部
@ 棘突起と脊柱起立筋の一番盛り上がった所の間を、第7頚椎と第1胸椎の間から第7胸椎の間から第7胸椎の棘突起の高さまで5点3回
A 脊柱起立筋の一番盛り上がった所を、第7頚椎と第1胸椎の間から第7胸椎の棘突起の高さまで5点3回
B 肩甲骨の内縁を、内上角から下角まで5点3回
イ.肩甲下部〜腰部
@ 棘突起と脊柱起立筋の一番盛り上がった所の間を、第7胸椎の棘突起の高さから第5腰椎の高さまで10点3回
A 脊柱起立筋の一番盛り上がった所を、第7胸椎の棘突起の高さから第5胸椎の高さまで10点3回
B 10点を3回
ウ.臀部・・・応用の押し型
片方ずつであるが、膝関節を屈曲、股関節を外転外旋して頂く(水泳の平泳ぎのような格好)。
水泳の平泳ぎのような格好の間に肩膝を着き、もう一方の足は外側に着き、腰を上げる。
@ 仙腸関節の所を一列目として、上方から下方へ8点
A ひと指外側を2列目として、上方から下方へ8点
B もうひと指外側を3列目として、上方から下方へ8点
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