肘関節や手根関節の自覚及び他覚的症状について

(特)日本指圧協会理事 師範 佐々木 重 雄

序文

もともと肘関節や手根関節の異常を訴える患者さんは、腰痛、五十肩、膝痛などに比べると少ないと思われる。今回はリウマチなどのような関節炎についてではなく、職業や打撲などの強い外力などによって以上を訴える方々の治療について述べてみよう。

本文

職業によっては腕や肘、手首などをかなり曲げたりひねったりする方や、強い打撲的外力によって、手首や肘、場合によっては頚部や肩部までまき込んでのむち打症状にまで発展することもある。外傷は無いものの、深部組織などの損傷を伴い皮下出血、血腫、関節の漿液性滲出などのため、関節や首を曲げられなくなったり、或いは曲げると痛みが伴うなどの為来院する。またスポーツによって、特に野球肘やテニス肘などは有名で、これらについても一緒に考察しよう。

申し上げるまでもないが、打撲したときは先ず患部を良く洗って冷やすこと、熱があっても無くてもその日は入浴は控えた方が良い(入浴すると一段と熱が出るし、予後についてもあまりいい結果は得られない。)。翌日も熱があるときは2日でも3日でも冷やし、入浴はなるべく避けること。3日以上熱のあるときは病院でレントゲンを撮ることも必要でしょう。一番安心なのは、患者さんがレントゲンを撮って異常の無いということの確認がとれたら安心といえるでしょう。しかし、それでも場合によっては骨にヒビが入っていることもあるので絶対安心ということはないことを申し添えておこう。

指圧施療の考察

治療にあたっては自覚症状の痛みがどの部位にどの程度あるものか。また自覚は無いが私どもが触れて、あるいは圧してみての異常で痛みを感じることもあるので、これらを十分に考察することである。初日は患部を良く考察して、患部に対し極く静かに触手、掌圧で腫れや熱の有無を確認。掌圧を何十秒間かしていると熱の薄らぐのがわかる。熱がひいたら掌圧。

患者さんが耐えられる程の快圧、指圧をくり返し、血液循環を促進させ、良好な状態に導き保てるよう努力し、病的浸出物の排除や幹部組織への栄養増進などが図られ、自然治癒力を早く喚起できるような指圧療法をすることである。

注意

掌圧快圧を繰り返しても熱や腫れが引かないときは、骨折か骨にヒビが入っている場合が多いので指圧にあたっては注意が必要。また、骨に異常が無いのに熱が引かないのは、内臓に変化があるかも知れませんから熱が引くまでは掌圧、快圧でそれまでは注意が必要でしょう。