指圧療法の普及の要因に関する一考察

浪越 雄二

要旨

指圧療法の今日までの普及には、浪越徳治郎(1905-2000)が指圧治療院の開院から始まって、指圧学校の設立や指圧療法の法制化に尽力したことに端を発しているが、指圧療法が普及した要因を、客観的に分析した研究は少ない。そこで本研究は、指圧療法がなぜこのように普及したかを明らかにするために、日本指圧専門学校付属治療院に来院する患者にアンケート調査することより分析した。また、文献調査や国外での指圧普及活動をしている日本指圧専門学校の卒業生に聞き取り調査も行った。

1955(昭和 30)年に、初めて法律に「指圧」の語彙が記載されて免許制度になり、指圧療法を研究した文献がメディアなどで採り上げられるようになってから、指圧は国内で認知されるようになった。国外でも指圧に興味を持つ人が増え、国際的に指圧学校や指圧治療院が設立、開院されている。国内の指圧治療院では、現在でも幅広い年代が来院し定期的に施術をうけている。このような指圧療法の普及には、国内外の地道な指圧の講習活動、国内での法制化とともに、指圧治療をうける患者の認識が大きく関わっていることが明らかになった。